着床前診断について

着床前診断とは

着床前診断とは受精卵の生体検査であり、体外受精のプロセスを経て作られる受精卵を検査することにより、健康な妊娠の確率を上げる目的の検査です。受精卵を子宮に移植する前に、その受精卵の遺伝子に異常があるかどうかを検査します。

着床前診断は過去20年間、米国の生殖医療臨床の場で、体外受精技術と着床前診断技術の進歩と経験により方法論も変化し、より有効である方法論、技術、スケジュールが確立されてきています。現在、当プログラムでは、着床前診断は胚盤胞(デイ5からデイ7の受精卵)のみが該当し検査されます。

着床前診断の流れ

胚盤胞は、内細胞塊と、胎盤や妊娠の構造となる外層である栄養外胚葉から構成されています。着床前診断のためにレーザーを使用し、栄養外胚葉から小さな細胞生検標本を採取します。生検が行われた受精卵本体は冷凍保存され、細胞生検標本のみが専門検査場へ送られます。結果所要時間は1~2週間が標準です。

23対の染色体診断:異数性検査の着床前診断 (24染色体分析*)
(PGT-a:Preimplantation Genetic Testing for Aneuploidy)​

ヒトは23対の染色体、計46本の染色体を持っています。卵子からの一本と精子からの一本がペア(対)になっており、22対の常染色体と1対の性染色体の構成で遺伝情報を保持しています。この法則から外れた染色体数を持つ現象が異数性です。

異数性、つまり、対(ペア)であるべき染色体に過剰か欠落が生じている場合、ほとんどのケースでは着床しないか、流産となります。これは、ヒトは、23対の染色体、計46本の染色体を持つことを必要とし、そうでない場合はヒトの健全な発育に適さないためですが、染色体異常を伴う妊娠が継続する場合もあります。

通常の体外受精のプロセスのみでは、受精卵の異数性はわからないため、受精卵の染色体の異数性を検査(PGT-A)は健康な妊娠を達成する有効な方法です。異数性の染色体を持つ受精卵をこの検査方法により除外し、正倍数体の受精卵のみを移植することは、着床率を上げ、化学流産(着床した後に心音が確認できる以前に消滅してしまうケース)や先天性欠損症の出生を避ける方法として採用されています。

  • 22対の常染色体と1対の性染色体の計23対の染色体の異数性を検査する診断ですが、遺伝学においては“24染色体分析”という検査名称で呼ばれています。“24”とは22本の常染色体と性染色体(X染色体とY染色体)を指し、この24本の染色体を調べる遺伝子検査です。
  • 我々、さくらニューヨークパートナーズが所属会員である米国生殖医療協会(ASRM)の2024年発行の染色体異数性に対する着床前診断の有用性についての意見・文献を更に読みたい方はこちら。さくらニューヨークパートナーズが要約し、説明を加えました。患者様に現在の米国における情報を正確にお伝えすることが重要である、と私たちは考えています。

遺伝疾患診断:単一遺伝子疾患の着床前診断
(PGT-M:Preimplantation Genetic Testing for Monogenic)​

単一遺伝子疾患とは、特定の遺伝子の病原性変異が原因で発生する遺伝性疾患です。単一遺伝子疾患に対する着床前診断は家系において特定の遺伝性疾患の歴史や経緯がある場合に適用する技術です。家系での当該変異を特定し、この変異に罹患している受精卵を除外し、正常な受精卵のみを移植し、健康な子供の妊娠を目指すことがこの技術使用の目的です。

 

通常、まず、家系内の特定の遺伝子の病原性変異に関する分析レポートを提出します。その後、PGT-Mを進めるに当たり、カップルからのDNA標本を収集し、標本からプローブと言う型を作成し、この型を基礎に体外受精からできた受精卵の診断を行います。罹患している受精卵を移植から排除し、遺伝性疾患を持つ赤ちゃんの確率を大きく下げることができます。

性染色体診断(性別選択、男女産み分け)

ヒトは22対の常染色体と1対の性染色体、合計23対の染色体を持っています。性染色体とは、X染色体とY染色体で、組み合わせにより性別が決定され、XXが女性、XYが男性です。性別の選択は、近年は、男女産み分けとも呼ばれていますが、現在、受精卵の生体検査である着床前診断(全23対の染色体を検査するPGT-a)のみが確実に性別の判別が可能です。

 

<医学的理由>

米国では35年以上前(1990年前後)から、この性別選択は、性別に関連する疾患(性別連鎖性疾患)を避けるために医療的な理由から有効に使用されてきました。特定な疾患は一定の性別のみに現れるためです。ターナー症候群は女子に、クラインフェルター症候群は主に男子に、そして、一部の筋ジストロフィー、血友病も主に男子に見られます。

 

現在、遺伝子分析によって、各人の染色体異常情報を確実に入手することが可能です。Y染色体連鎖遺伝は稀であり、通常、X染色体による連鎖遺伝(優性・劣性)が語られますが、両親の染色体の組み合わせにより、各人の染色体異常の遺伝疾患の遺伝を避けたい場合に、性別によって遺伝する
“確率”を判断できるため、医学的理由から性別選択(男女産み分け)は有効です。

 

<ファミリーバランス(家族構成)>

近年20年間ほどまえから、ファミリーバランスが目的で性別を選択するケースも増えています。親として子育ての楽しみや家族構成を考えるときに、アメリカでは性別選択は人生のおける選択肢のひとつです。

PGTについて知っておくこと:

  • いかなるスクリーニングが100%保証できないように、PGT(着床前診断)の検査精度は97~99%と非常に高度ですが100%ではなく、偽陽性や偽陰性の可能性があります。
  • 上記のPGT-Aにおいては珍しい染色体異常が検出できないこともあります。
  • 上記のPGT-Mは、特性疾患用に作成されたプローブ使用の特定疾患のみを検出する検査です。PGT-Aと併せて検査することや、出生前診断の実施も有効です。
  • PGTは遺伝子に関連する検査であり、遺伝子が特定できない妊娠中の問題に関しては検査することはできません。
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